人権作文を書くときのテーマとしては高齢者差別があります。
しかし、高齢者差別とはどのようなものかわからない方もいるでしょう。
ここでは、人権作文を書くときのために、高齢者差別についてご紹介します。
高齢者差別と人権
人は、誰でも、人間らしく幸せに生きる権利、つまり人権があります。
人権は、相手の立場をお互いに認めて、自由や権利を尊重することで成り立ちます。
日本においては、少子高齢化が進んで、2040年には65歳以上の高齢者が1/3になるとされています。
少子高齢化がこのように確実に進んでくる中において、高齢者の人権が守られて、安心して高齢者が生活できるような世の中を築くことが求められます。
しかし、深刻な高齢者に関係する人権トラブルも多くなっています。
この一つとしては高齢者差別もあり、著しく高齢者の人権を傷つけられるものです。
そのため、日本では、「高齢者虐待防止法(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律)」を平成17年11月に制定しました。
家庭での高齢者差別
国では、平成15年度に家庭での高齢者差別を調査しました。
この調査結果からは、高齢者差別として次のようなものがわかりました。
- 差別された高齢者の半分以上の方は差別されたという自覚がない
- 差別されている高齢者の1割は命に関わるような危ない状態である
- 差別されている高齢者は相談する人もいない
このように、家庭でも高齢者差別は深刻になっています。
どのようなことが高齢者差別になるか?
高齢者差別としては、次のようなことが挙げられます。
身体的な差別
暴力などによってアザや傷、痛みを体に与える、継続的、意図的に外との接触を遮ることです。
心理的な差別
威圧するような態度、屈辱や脅しなどの言葉、嫌がらせ、無視などによって、情緒的、精神的に苦しみを与えることです。
経済的な差別
了解なしにお金や財産を使って、高齢者がお金を使うのを訳もなく制限することです。
世話、介護の放任、放棄
意図的かどうかに関係なく、世話や介護を行っている家族が放任あるいは放棄して、高齢者の精神状態、身体状態、生活環境が悪くなることです。
どうすれば高齢者差別が防げるか?
高齢者差別については、気軽に近くの市区町村の窓口に相談してください。
高齢者差別が行われていることを認識する
高齢者差別がわかったりしたときは、近くの市区町村の窓口にすぐに連絡してください。
重大な危険が高齢者の身体あるいは生命に起きているときは、市区町村に速やかに通報する必要がある、速やかにこれ以外のときも通報するように努力する必要がある、と高齢者虐待防止法では決まっています。
介護する人がもっている介護についての悩みによって高齢者差別が起きるときもある
介護する人は悩みを抱え込まないで、他の人に話すことが大切です。
高齢者の人権を守るためのサポートを近くの市区町村で行っている
近くの市区町村に相談して、地域のネットワークで高齢者差別を無くしましょう。
高齢者虐待防止法においては、次のように決まっています。
「養介護施設従事者等は、当該養介護施設従事者等がその業務に従事している養介護施設又は養介護事業において業務に従事する養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかに市町村に通報しなければならない。」
高齢者の人権を守るために利用できるサービスとは?
ここでは、高齢者の人権を守るために利用できるサービスについてご紹介します。
地域福祉権利擁護事業
地域福祉権利擁護事業は、認知症の高齢者、精神障害がある人、知的障害がある人などのように、普段の生活に不安がある人に対して、その人の人権を守って、地域で自立した生活ができるように生活支援員によって、福祉サービスの利用契約のサポート、普段の見守り、お金の管理などを行うものです。
それぞれの相談機関を通して、本人と家族、親族が利用できます。
問い合せ先は、それぞれの県や市区町村の社会福祉協議会です。
成年後見制度
認知症、知的障害、精神障害などのために、十分に判断する能力がない方は、預貯金や不動産などの財産を管理したり、介護の契約を世話してもらうために結んだり、遺産分割協議をしたり、契約を施設に入るときに結んだりするときに、このようなことが自分では困難なことがあります。
また、契約が自分に不利益なものでも判断が十分にできなくて契約を結んで、被害に遭うリスクもあります。
成年後見制度は、このように判断が十分にできない方を守ってサポートするものです。
本人が住んでいるところの家庭裁判所に、本人とその家族、親族が申し立てすると利用できます。
問い合せ先は、それぞれの県の弁護士会などになります。