【受賞作のポイント】第35回全国中学生人権作文コンテスト入賞作文




内閣総理大臣賞「人として生きる」

宮城県の仙台市立第一中学校3年生の「人として生きる」は、戦後70年目を迎え作者と同居する祖母が夏になると終戦を迎えた頃の話を聞いたことで生活の格差があったことを聞かされたことを綴り内閣総理大臣賞を受賞しました。祖母たちは曽祖父が役職に就いていたことで引き揚げまでに時間がかかり、敗戦と同時に仲間だった中国やソ連の人々が敵になって家族を苦しめていたのです。しかしながら、祖母たちを救ってくれたのは長年家で雇っていた中国人で、食料を集めたり危険な生活を陰ながらサポートしてくれました。祖父は雇っていた中国人に感謝されたことで祖母たちが帰国できるようにサポートしてくれ、戦時中の祖母たちは明るく楽しい青春時代がなくつらい思いをしたため作者はその話を聞いて悲しみが減るようにすることを語っています。

http://www.moj.go.jp/content/001165033.pdf

法務大臣賞「ぼくの生きる道」

千葉県の浦安市立高洲中学校1年生の「ぼくの生きる道」は、障害者である自分自身がつらい経験をしたエピソードを綴り法務大臣賞を受賞しています。障害者であるために差別されたりするものですが、実際にはボランティアのサーファーに教えてもらいその時の風や海の音が爽快に聞こえ上達したことをプラスに考えています。障害者でもやればできるということを知って自信を持ち、教えてくれたコーチやサポートしてくれた方たちの支えだと感じたようです。この経験を踏まえて不自由な体とうまく付き合い、助けてもらうことがあってもやればできるという自信を持ちました。そして、障害者でも自分らしく生きることを誓い、ブサイクであってもすべきだと誓っています。

http://www.moj.go.jp/content/001165034.pdf

文部科学大臣賞「大島青松園を訪れて」

徳島県の神山町神山中学校3年生の「大島青松園を訪れて」は、ハンセン病に関する差別を実感して感じたことを綴り文部科学大臣賞を受賞しています。ハンセン病は過去に人々の間違った考え方により、偏見や差別の対象とされて自由や権利を奪われていったものです。ハンセン病はかかると療養所に強制隔離され、治っても家族と離れて生活することになりますが権威のある人の考え方一つで決まったものでした。作者は回復者からこの話を聞いて両親に話すとハンセン病のことを知らなかったようですが、このような差別があったことを理解してもらえました。作者はハンセン病の回復者から話を聞いたり学んだことで、人権問題について考えることが恩返しだと語っています。

http://www.moj.go.jp/content/001165035.pdf

法務副大臣賞「「知る」ということ」

広島県の呉市立安浦中学校3年生の「「知る」ということ」は、作者が戦時中の呉市の空襲の体験を聞いてどのような出来事があり曽祖父が広島で原爆の犠牲になったことを知ってどのように生きるべきか綴って法務副大臣賞を受賞しました。曽祖父の妻は被爆手帳を持って三人の子供を育て98歳を迎え、今はなき祖父や母、そして自分自身がつながれていることを知ります。合唱コンクールでは過去の戦争のことを考えながら自分自身が生まれた街で仲間とともに生きていこうと誓い、祖父や祖母の時代から現在まで続いていることを思っています。戦争は何もかも失うほど絶望的なものですが、作者はこのような時代にも人を助けようとする人がいることを知って未来につなげていこうと考えています。

http://www.moj.go.jp/content/001165036.pdf

法務大臣政務官賞「患者の人権」

静岡県の静岡県西遠女子学園中学校3年生の「患者の人権」は、骨髄異形性症候群にかかっている祖母が病院で言われたセリフについて問題があると感じて訴えて法務大臣政務官賞を受賞しました。病院で若い医師たちが「病院は病気を治すところで治療のために血液を使いたい」と口にし、余命3ヶ月と宣告されても希望を持って過ごしていました。このような当たり前のことでも重症の患者さんの場合には限界があり、どこまで治療を続けるのか線引をしにくく医療に限界があることを感じました。これをきっかけに剥奪される人権をなくすため、新薬の研究開発をすることを誓っています。

http://www.moj.go.jp/content/001165037.pdf

全国人権擁護委員連合会会長賞「文字の大切さ」

徳島県北島町北島中学校1年生の「文字の大切さ」は、作者が識字学級に通うおばあさんから部落差別を受けて学校に行けなかったことを聞かされたことを綴り全国人権擁護委員連合会会長を受賞しています。作者は自分自身は言葉を学べて書いていることが理解できますが、おばあさんたちは差別を受けながら教育を受けてなくてできないためそのことに問題があると語っています。そして、公園で高校生がペンで遊具に落書きをする姿を見て、一瞬のうちに人を傷つけるようなものだったためショックを受けました。このように、何も苦労せずに文字を学べて恵まれていますが他人を誹謗中傷することになり、文字はきちんと使うことが重要だと訴えています。

http://www.moj.go.jp/content/001165038.pdf

一般社団法人日本新聞協会会長賞「生きる権利・死ぬ権利」

佐賀県の唐津市立浜玉中学校1年の「生きる権利・死ぬ権利」は、末期の膵臓がんで1年前に亡くなった祖父のことを綴り一般社団法人日本新聞協会会長賞を受賞しました。祖父はその6ヶ月前に告知されて半年の闘病生活を送り、最期は緩和ケアでした。緩和ケアは完治を望めない患者が1日でも長く延命するより身体的な痛みや精神的な苦しみをできるだけ軽くすることを目的とし、祖父は入所して1週間で亡くなりました。祖母は緩和ケアに反対していましたが祖父自身が望んだことで、この生き方から人として生きる意味があることを学んで自分の意思をしっかり持つことが重要だと考えています。

http://www.moj.go.jp/content/001166125.pdf

日本放送協会会長賞「名前も知らない、あなたへ」

福岡県の大野城市立大野中学校3年生の「名前も知らない、あなたへ」は、以前犯罪を犯して執行猶予の判決を受けた父親が自宅に盗みに入った犯人の名前を言わないエピソードを知って
犯人に許すから罪を償ってほしいと訴えて日本放送会会長賞を受賞しました。父は自分が起こした過去を振り返り自分自身が加害者であったために辛い思いをしてきたこともあり、その強盗した犯人に立ち直ってほしいと訴えています。犯罪を犯すと再犯をする恐れがあるという偏見の目で見られるためで、そのことを作者も話を聞いて感じながら犯人に対してメッセージを送っています。

http://www.moj.go.jp/content/001165041.pdf

法務事務次官賞「ピアノを弾けないピアノの先生」

埼玉県の日高市立高萩北中学校1年生の「ピアノを弾けないピアノの先生」は、音楽教室の校長先生が原因不明の病気で車椅子で生活しながら自宅でピアノ教室を始めたことを綴り法務事務次官賞を受賞しました。その様子に作者は普通の人ならできるものではないと感動していましたが、車椅子に乗っているだけで嫌がらせをされて人の中身を知ってもらうように訴えています。作者は障害がある先生にピアノを教えてもらって今があると感謝し、同時に外見だけで邪魔だと差別をすることに憤りを感じていることを訴えています。病気になってピアノを弾けませんが、作者にピアノを教えてくれた先生という事実には変わりはないようです。

http://www.moj.go.jp/content/001165042.pdf

法務事務次官賞「おじいさんの気持ち」

大阪府の履正社学園豊中中学校2年生の「おじいさんの気持ち」は、おじいさんがおばあさんを認知症だと思いたくないらしくてかばうことを知って感じたことを綴り法務事務次官賞を受賞しました。おばあさんはおじいさんが大切に植えていたトマトやナスなどを引き抜いてしまいましたが、おじいさんは怒らずに認知症だと分からないように対応する姿を見て作者は何かに気が付いたようです。おじいさんはおばあさんに対して元気の時のままでいてほしいという思いがあり、作者もその姿を見て認知症の現実を知って胸が詰まる思いだったと訴えています。

http://www.moj.go.jp/content/001165043.pdf

法務事務次官賞「いじめを通して」

兵庫県の多可町立中町中学校3年生の「いじめを通して」は、自分自身がいじめを受けてアンケートにはいを付けて提出したことで学校側も気付き両親にも打ち明けて先生にも励ましてもらえたことを綴り法務事務次官賞を受賞しました。最近ではいじめによる自殺者も増えるなど深刻な問題ですが、きちんとアンケートで答えたことで先生やほかのクラスの生徒に励ましてもらうなど力を借りれるようになりました。このような経験を通して人に感謝することが重要だと考え、つらい経験をしないように願っています。いじめは心ない気持ちによって起きますが、なくしていくように人に感謝することが重要だと訴えています。

http://www.moj.go.jp/content/001165045.pdf




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