人権作文の技術




自分だけの新たな視点を持つ

よい文章はよい視点を持っています。
特に人権作文は、扱うテーマが人権問題だけに、テーマに対して
「自分だけの新たな視点」を持つことが重要になっています。

人や事象を、簡単に決めつけないで、自分の視点で新たな見方を得ることが必要になります。

第31回全国中学生人権作文コンテストで内閣総理大臣賞を受賞した「」の場合、
右手首から先がない健太君に、周りの大人達は、
「グランドだけの健太ではなく,身の回りの細々したことも手助けするよう」といいます。
しかし、作者はそれが本当に健太の望んでいることなのか疑問を持ち、
「必要以上に健太を手助けすることは,彼を少しずつキズつけて,
彼の居場所やすべきこと,そして生きる力をも奪っている」と感じます。

このように、大人のいうことをそのまま鵜呑みにせず、自分で考え、経験したことを通じて
新たな視点から物事を考えていくことができています。

意見は理由も

人権作文では、自分の視点から意見を書くことがあります。
その場合、自分の意見をはっきり伝えたあとに、必ず理由も説明できないといけません。
できれば複数の理由があれば、説得力が増します。
理由の説明方法としては、まず理由が何点あるかを伝え、その後、「一点目は」「二点目は」
と書いていくと分り易い文章になります。

自分の成長を肯定的に書く

人権作文は扱うテーマが人権問題であるため、悲観的な事実を扱うことが多くあります。
しかし、そういった経験を通して、学んだことや得たことから、自分がどのようにプラスに変わったので
成長したのか書くことが重要になります。
人権作文を書く目的は、人権問題を自分のこととして受け止め、どのように成長したかを自覚することにあります。
たとえ、先生やまわりにほめられても、自分が成長しないと意味がありません。
人権作文は、他人のためでなく、自分の成長のために書きましょう。

書き出しを工夫する

作文は、書き出しが大切です。書き出しは、人の家でいえば玄関にあたり、文章を読んでもらえるよう
上手に読者をひきつける必要があるからです。

 書き出しは簡潔に

長い書き出しの場合、文章の歯切れが悪くなり、読者を効果的にひきつけることができません。
書き出しは、簡潔にまとめると効果的です。
たとえば、第31回全国中学生人権作文コンテストで文部科学大臣奨励賞を受賞した「温かさを分け合って」の場合
「みっちー」。と文頭に呼びかけをつかって、インパクトを出すことで、読者をひきつけています。

感情の表現

 「うれしかった」「楽しかった」「悲しかった」「寂しかった」など、感情の表現について
直接的に書くよりも、描写することで、より効果的な表現となります。

「うれしかった」「楽しかった」の例

  • 目が笑っていた
  • 目が輝いていた
  • 口元をほろこばせた
  • 明るい声が
  • 弾んだ声で
  • 満足そうに笑った
  • 顔をほころばせた
  • 表情を緩めた

「悲しかった」「寂しかった」の例

  • 険しい目つきだった
  • 目を曇らせた
  • 濁った目で
  • 沈んだ声で
  • 口をとがらせて
  • こわばった表情で
  • みるみる笑みが消えた




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