【受賞作のポイント】第38回全国中学生人権作文コンテスト入賞作文




内閣総理大臣賞「学ぶことは生きること」

岡山県の岡山県立操山中学校2年生の「学ぶことは生きること」は、義務教育を受けられなくて知識がないことをコンプレックスと感じ学ぶことを生きがいとした作品で内閣総理大臣賞を受賞しています。文字が読めないと何を書いているのか分からなくて不安になるもので、教えてもらわないと分からなくてそのままの状態になっているため恥ずかしい思いをするしかありません。このようなことは病気など何らかの事情で不登校の場合に起き、夜間中学校で義務教育を受けることになります。不登校のために義務教育を受けないまま大人になることは今後の人生にとってハンデを背負うことになりますが、遅くても受けて理解することで乗り切れるとアピールしています。

http://www.moj.go.jp/content/001282415.pdf

法務大臣賞「弟が教えてくれたこと」

熊本県の天草市立本渡中学校1年生の「弟が教えてくれたこと」は、弟がダウン症になり生まれてすぐに病院に運ばれることがありました。入院中は弟に会えずに何もしてやれない思いがありましたが、面会の際にガラス越しに見える姿にショックを受けた経験をもとに一緒に楽しんで喜ぶことが重要だと感じるようになっています。母は弟を生んでから入院を通して色々な人と出会うことで障害を持つ人が身近にいることで多くのことを学べ、ダウン症の人が家族にいても付き合っていくことが重要だと語っています。人間は生まれつき何らかの障害を持っていることもありますが、家族にいればうまく付き合っていくことが重要だと感じさせてくれる内容です。

http://www.moj.go.jp/content/001282416.pdf

文部科学大臣賞「待つ」

山口県の防府市桑山中学校3年生の「待つ」は、目が見えづらい祖母と生活をすることを通して焦らずに待つことが重要だということを書いて文部科学大臣賞を受賞しています。祖母がスーパーのレジで会計が遅いために後ろのお客さんが舌打ちをしたことと、後ろに人が並んでいるときに自分が急かしてしまったことを同じような行動だと伝えています。急かしたときに隣りにいる女性から急がなくていいと親切に言われ、早くしないと行けない場面でも障害があるためにできないことを急かすことが悪いことだと改めて気がついていました。このような経験をもとに障害を持つ人に対する人権の尊重をすべきことを伝え、他の人が読んでも考え方を改めるきっかけになる文章です。

http://www.moj.go.jp/content/001282417.pdf

世界人権宣言70周年記念賞「『自分の種類とその性別』」

佐賀県の白石町立白石中学校3年生の「『自分の種類とその性別』」は、女の子でもどこに行っても男の子に間違えられたことでコンプレックスがあることをアピールして世界人権宣言70周年記念賞を受賞しています。最近話題になっている「LGBT」という言葉が注目され、同性が恋愛対象になる人や心と体の性別が一致しない人の存在を知ってあるきっかけをつかみます。本人は自分のことをXジェンダーやLGBTQだと認識し、すんなりと受け入れてくれる人は少ないと感じます。しかしながら、このようなことが原因で差別や偏見も生まれ、生きづらい世の中になることを嘆いています。今では13人に1人と言われるLGBTQでこのような差別もありますが、決して他人事にせずに自分自身の経験を踏まえて対処すべきとアピールしています。

http://www.moj.go.jp/content/001282419.pdf

法務副大臣賞「“ダイバーシティ”の推進力に!」

東京都の八王子市立加住中学校3年生の「“ダイバーシティ”の推進力に!」は、高校野球において注目する選手が右手に親指と人差し指しかないハンデを背負いボールを投げたりキャッチすることを左手のみで行っていることが特徴です。また、作者自身も親指が欠損してものを掴むことができないハンデがあり、目標とすべき存在だと語っています。その後、職業経験をしてハンデキャップがあっても働いている人に出会い、ダイバーシティという言葉を知って一人ひとりの固有の特性や属性に敬意を払って行動することが重要だと認識しています。ハンデキャップを持つ人間が差別されない世の中こそ重要だと自らの経験を踏まえて訴え、出会う人を生きる手本にするようアピールしています。

http://www.moj.go.jp/content/001282414.pdf

法務大臣政務官賞「差別や偏見は無知から始まる」

滋賀県の滋賀大学教育学部附属中学校1年生の「差別や偏見は無知から始まる」は、ハンセン病に対する差別や人権侵害があったことに対する考え方をアピールして法務大臣政務官賞を受賞しています。「ハンセン病家族差別敗訴 国の責任一切認めず」と書かれた新聞記事で知り、関心を持って母から渡された古いビデオテープでハンセン病にかかった人たちがどのような苦労をしたのか学んでいます。ハンセン病の患者は愛生園に入所する際に偽名を使うように指示され、世の中から抹消されたり様々な迫害を受けて来たことを知ります。このような差別があったことで事実を風化せずに伝え、困っている人々を助けることが重要だとアピールしています。

http://www.moj.go.jp/content/001282422.pdf

全国人権擁護委員連合会会長賞「『知る』努力と人権侵害」

愛知県の愛知県立一宮特別支援学校中等部3年生の「『知る』努力と人権侵害」は、自分自身が脳性麻痺を起こし支援してもらうことを経験して感じたことを書いて全国人権擁護委員連合会会長賞を受賞しています。小学校の終業式のときに自分自身が車いすを押してもらっていることに対して楽そうだと言われ、そのことが辛い思いでになり考え方の違いで生み出されたものだと感じます。クラスメートとの「知らない」という壁でこのような考え方の差になったと実感し、人と人との距離を近付けることで差別をさせないことが重要だと語っています。やはり、作者は自分自身の経験を通して他人のことを知るよう努力し、配慮して行動することが重要だと感じて記事として伝えています。

http://www.moj.go.jp/content/001282421.pdf

一般社団法人日本新聞協会会長賞「『大切なこと』」

高知県の須崎市立朝ヶ丘中学校3年生の「『大切なこと』」は、障害者に対する接し方を詳しくアピールして一般社団法人日本新聞協会会長賞を受賞しました。母がアルバイトをしていたときに店舗を利用しないでトイレだけ利用すると有料になることを聞き、作者は当たり前だと答えました。店長にトイレが有料になることを伝えられた障害者はそのまま帰ってしまい、このようなことが母にとっては差別行為につながると感じたようです。作者は障害者は特別扱いせずに平等に対応することが重要だと考えましたが、それと同時に教科書どおりに障害者を理解しようとすると大切なことを見落とすと考えていたのです。このような経験を踏まえて、自分自身がどのように障害者に向き合っていくかを考えています。

http://www.moj.go.jp/content/001282423.pdf

日本放送協会会長賞「障がい者が生活しやすい社会」

神奈川県の横浜市早渕中学校3年生の「障がい者が生活しやすい社会」は、生まれつき聴覚障害を持っていることで音楽の授業が苦手で周囲から見られることをコンプレックスに感じたことを書いて日本放送協会会長賞を受賞しました。聴覚障害があるため発声のタイミングが他人とズレてしまい、メチャクチャになることで迷惑をかけているとも思ったり大勢の人の前に会話をすると誰が話しているのか分からないため困るようです。障害者差別解消法はお互いに尊重しあいながら共生していくことで、聴覚障害がある人に対しても助け合うことが重要だとアピールしています。このような自分自身の経験を通して相手に聴覚障害があっても差別をせず、また助けることが大事だと伝えています。

http://www.moj.go.jp/content/001282433.pdf

法務事務次官賞「『良い学校』って?」

岐阜県の恵那市立恵那北中学校3年生の「『良い学校』って?」は、いじめとはどのようなものか詳しくアピールして法務事務次官賞を獲得しています。作者は入学時にいじめがない学校だとアピールされていましたが、実際には悪口を聞こえるように言われるなどいじめを受けていました。母や先生には内緒で相談し、道徳の授業で作者と同様の経験をして飛び降り自殺をした人がいることを知りました。このような状況を見て入学時に学校がアピールしていた内容が嘘であるとショックを受け、母と相談するといじめ防止対策推進法を教えてもらい定義が書いていました。その内容はまさしく自分自身のものだということが分かり、しっかり向き合ってなくすように努力することが重要だと書いています。

http://www.moj.go.jp/content/001282431.pdf

法務事務次官賞「境界線のない社会へ」

大分県の大分市立原川中学校2年生の「境界線のない社会へ」は、チョークを生産する工場には7割の知的障害者が働いていることを作者が知って影響を受けてその後の行動を書いて法務事務次官賞を受賞しました。社長は知的障害者が福祉施設で面倒を見てもらうことではなく働いて役に立つ会社が人間を幸せにすると話したお坊さんの影響を受け、障害者であっても大切な人材として扱っています。このことが同じ学級の3人の仲間の姿を重ね合わせ、学年活動の時間の前に誘うとやる気に満ちて生き生きとしていました。この経験をきっかけに、人は必要とされていると積極的に仕事に取り組むようになり、障害者であっても関係ないことをうまく伝えています。

http://www.moj.go.jp/content/001282432.pdf

法務事務次官賞「心をつなぎ、伝えたい」

福島県の福島大学附属中学校1年生の「心をつなぎ、伝えたい」は、アメリカで自分自身が外国人として差別を受けた様子を書いて法務事務次官賞を受賞しました。スイミングスクールに行くために車から降りると目の前の車の窓から白人たちが帰れと言っているようで、そのことがトラウマになったようです。アメリカに小学校の頃に住んでいたときは外国人であっても周囲は助けてくれましたが、スイミングスクールのときだけでなく買い物をするときにも移民だと差別を受けました。このような行為は一部の白人によって行われていますが、古き良き時代を取り戻すためにしているようです。また、日本でも安い賃金で使われる外国人労働者やヘイトスピーチなど差別があり、自分自身が受けたアメリカでの体験を通して自分が痛みを分かち合うことが重要だと伝えています。

http://www.moj.go.jp/content/001282434.pdf




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